星影にひそむ星々の会話~星座の文法~

精神障害者ピアサポーターをしている僕の徒然

或る美しさ、『やまない雨はない』

異論の噴出しそうな美を巡る学術的な話題を敢えて避け、川端康成ふうの「或る美しさ」と据え置くしかなかった。他に幾つかの題が思い浮かんだが、品詞から成り立つそのどれもが中途半端だったり、美とは何かについての主観的な説明だったりして、意味のないものになっているような気がした。

 

『やまない雨はない』、NHKのお天気キャスターの書いた美しい回想録。季節の移ろいと人の暮らしの歳月の移ろいとをうまく重ねて書いている。丹念な筆致で、却ってそれが悲しい。子のいない、夫婦の晩秋の話となっている。幾つもの驚き、度重なる不幸せ、妻の死、書き手の精神病院への入院、そして恢復。通底するのは或る美しさを醸し出す夫婦愛。

 

誠実さや、謙虚さが、流れていく。

 

人間、いつ死ぬのかわからないけれど、やがて必ず死ぬことだけは、わかっている。

 

だが、温かみのある暮らし、その営みの困難は、人は必ず死ぬとまるっきりわかっていないことに起因する。

 

人と人はついつい争うのが屢々で、多くはコミュニケーションの過程でそうなるが、自分を律することさえできずに相手を罵倒し甚だ傷つける場合がある。条件なしの醜さで、社会への適応能力を疑うも、怒っている御仁はいかにも馬耳東風といったふうでもある。怒っている本人は間違いなくこう言うだろう、「黙って!」。

 

指導的な立場にある人でも、やっぱり同様で、国を代表して他国を著しく威嚇する例は後を絶たない。まるで茶飯事のようにニュースはそんなことを報道する。そこにはアンガーマネジメントもアサーションの技術もあったものではない。

 

戦争は、終わらなかった。

 

文学は役に立たない、そう言われ続けた。

 

そんな世相をよそに、ヘビー級のボクサーが、一篇の詩の一句を読んで、まことしやかに泣いている。あの、空だ。