星影にひそむ星々の会話~星座の文法~

精神障害者ピアサポートをしている僕の徒然

意味を問わない愉しみ

土砂降りの雨だった今日の午前中、その昼前あたりから雨上がり、帰宅時の電車の中はさぞかし置き忘れの傘がたくさん並ぶのだろうな、そんな心配をしていた。仕事場から東京スカイツリーが見える。その界隈の一角に、僕の部屋がある。一角、というとなんだか豪勢に響くが、なんの変哲もないありふれた部屋だ。建物そのものは巨大だけれど、その中の僕の部屋は、他の住人と同じごくありふれた一室で、少し整然としているのはただ単に僕が綺麗好きなだけだから。

夕方、仕事場の近所の公園から東京スカイツリーを見たら、次第に靄がかかり、ライトアップがぼんやりとしか見えなくなった。灰色がかった雲が、スカイツリーの展望台あたりに巻き付いて、最近のライトアップに垣間見られるグリーンのLEDの点滅が殆ど見えない。グリーンのLEDはクリスマスツリーを見立てている。無数のLEDが点滅する様は、やっぱり綺麗。夢見るような気持ちになる。

そのとき、そのとき、スカイツリーは色を変える。

フランスで同時多発テロがあった際には、フランスの三色旗を模して三色に輝いた。

喪に服するスカイツリーがこれ。

なんとなく、悲しい。

スカイツリーは、鏡を知らない。背が高いから、それを映し出す鏡がない。自画像を描いたことがないスカイツリー。自撮りは、ムリだ。落とす葉もない。落ち葉がない。奇妙といえば、奇妙だ。人工の牢獄に収まり、身を挺している。

 

毎日、毎日、来る日も来る日も、僕はスカイツリーを見ている。東京タワーを全く見なくなって久しい。光りの洪水に僕は自らカラダを預ける。たまには飽きがくる。観光客の黄色い声がいつも鳴り響く。どこから来るのか、観光バスが右往左往している。都バスでさえ、日本語、英語、フランス語、中国語、韓国語でアナウンスするから忙しい。人工の光り。詩人ボードレールの『悪の華』がよくお似合いの、僕の住む界隈。一粒、一粒、砂が集まったり、散り散り砕けて、土になることを諦めた痩せた土地。強引にスポットライトをあてて、空にサーチライトがたなびく。涙も流れぬ光りの痩せた土地。なんの意味もない豊かさが寂寥を招き寄せる。ここは、どこだ?