読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

星影にひそむ星々の会話~星座の文法~

精神障害者ピアサポートをしている僕の徒然

詩人はラブレターしかもらわない


詩人ジャン・コクトーのこの言葉が好きだ。詩人はラブレターしかもらわない。社交辞令を蔑ろにしたこの言葉。上っ面の地位や学歴や年収をまさに一蹴するこの言葉。虚栄心にしては気が利いていて、傲慢不遜なところがなく、阿諛追従をちょっと小馬鹿にしたような、いや全く、正当な教育とは、そんな風であってほしい。


風に乗せてフェラガモの香水を流す。
至る所に届く香水の薫り。
風とオードトワレはいつも、正直だ。


f:id:atorie-hama3o2o3s1965447:20151026160838j:image


f:id:atorie-hama3o2o3s1965447:20151026160924j:image


f:id:atorie-hama3o2o3s1965447:20151026160946j:image


f:id:atorie-hama3o2o3s1965447:20151026161001j:image


薫りだけを残して去る私たち……、と言いたいところだが、実際の私たちはそれほど恰好イイものではなく、泣きながら去ることになる。気取り澄ますのは難しい。幾つもの出逢いがあり、何冊もの恋愛小説があり、たまにはハーレクインロマンスにも目を通す。ハーレクインロマンスの作家たちは実は評論家のインテリで、恋人も配偶者も、評論家的小説家が日々何を何のために書いているのか分からない。いずれにしても評論家的小説家として、書いているのが無邪気なハーレクインロマンス。評論家的小説家たちが悔恨を残す。私たちはまだ見すぼらしい。


f:id:atorie-hama3o2o3s1965447:20151026162302j:image


詩人が血を流す。俄かに小説家のほんとうの苦しみが分かる。『ヘヴン』と題して小説を書く際の川上未映子のあの号泣を、分かち合いたい。小説家の呻吟がやっと分かり、追放された僕たちは、また部屋の中に戻る。

何という孤独だろう。
何と淋しい僕の孤独なんだろう。

私たち。今やもう遅すぎる僕たちの恋。
何ということはない。
風のなかに、ただ香水の薫りを残して。