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星影にひそむ星々の会話~星座の文法~

精神障害者ピアサポートをしている僕の徒然

恋する私たちの行方

徒然のこと Photo 精神障害

木枯らし吹き荒れるこの東京に灼熱の恋の花が誇らし気に咲いている。誠実と不実とが重なりあったこの恋の花に、どうかあなたの優しい涙が零れ落ちますように、そう切に願う。その行方、後悔とは縁のない恋の行方を、あらかじめ知っているのは、もしかしたらあのステキなシェイクスピアなのかもしれないし、敗北しつつある私たちの誠実さなのかもしれない。悲しみの別れを慎重に疎んじる私たちの誠実さなのかもしれない。そうあってほしいし。でも実のところ、どんな誰にも分からない。たぶんステキなシェイクスピアを除いては……。



街角に陽だまりが落ちている。オフィス街のど真ん中に、陽だまりが揺れている。揺らめく陽だまりに私たちの影が落ちている。もう引き返すことはできないし、前に進むのもためらいがちになる。こんなときにこそ恋人とせめてキスできたらいいのに。そんなキスさえなかなか難しい。まるで高校生のようにナイーブになっちゃった。誠実な恋が、誰かの不実のために無茶苦茶にされている。誠実な恋に夜の翳が射し込んで奇妙な恋へ変遷し、滅茶苦茶になっちゃった。誰のせい? その不実は、おそらく冷たい冷たい風のせい。この東京に吹きすさぶ木枯らしのせい。



私たちが私たちそれだけで満ち足りていたあの頃が懐かしい。カードが出揃い、ジョーカーを切り札に私たちは放り投げた。ハイネの詩集を嘲笑う、あの愚かな連中が酒を浴びながら、恋の花に唾をかけた。バカらしいカネで人身を買う、あの愚かな連中。たちまち恋の花は朽ちていく。戸惑い、ためらい、悲しみのために、恋の花は朽ちていく。ダンスミュージックは鳴りを潜め、戯言でしかない俗っぽい歌が私たちを包囲した。




アルコールが流れた。オレンジジュースを飲みながら僕は再度あの吐瀉物を見た。恋の花に吐瀉物が乗る。緑の葉が吐瀉物で見えない。このまま恋の花が枯れそうだ。どうか私を優しく裁いてください、アメリカの詩人と同じ気持ちになる。



世間の皆さま、どうか私を優しく裁いてください。





僕はひとりじゃ生きていけないから、この恋を選び、この恋に選ばれた。恋の言葉を、カネが奪い取ってみすみす恋を軽蔑する。この歪んだ倒錯の前にはあいにく鏡などありはしない。鏡でさえもが醜さに耐えられず、どこかへ避難した。



私たちは、声にならない声を聞く。果てることのない悪徳の醜い断末魔。