星影にひそむ星々の会話~星座の文法~

精神障害者ピアサポーターをしている僕の徒然

私、時には、日記

高温多湿の東京。

夏休みを排除して働きっぱなし。

疲れがピークに差し掛かるこんな頃、ハッ、と気づけば通勤電車内でだらしなく爆睡していたりもする。とても恥ずかしい瞬間。ヨダレを垂れ流していないだけ、まだマシかな。宵の口になればもう蟋蟀がたくさん合唱している。季節は移ろいつゝある。昨夜は錦糸町のファッション・モールで仕事して、偶々《すみだJAZZフェスティバル》というのが開催され、その分いつもよりお客さんが多かったんだけれど、そのJAZZの最後が素晴らしかった。圧巻だった。

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ふんどし姿のひとりの男が和太鼓を懸命に叩き、震動が下町いっぱいに広がっていく、あのドップラー効果のように。髪の毛を結いあげる和服姿の女性が多数いた。もうお客でいっぱい。これでもか、というくらいにお客がいて、警察官が人々を整理している。《明日も仕事》だなんて感覚がスッ飛んで、僕はJAZZの演奏に聞き入った。光りが錯乱したかのように右往左往する。重低音が内臓に響く。サーチライトがスポットライトになり、無数が一点に、一点が無数に、それが現代流の侘び寂びとなっている。下町がリフレッシュする。小糠雨が降っていたが、それもまた風情となる。

 

今日の仕事。

仲間のバイクに乗せてもらい目的地へ。日曜日だとは知らなかった。感覚が麻痺している。バイクで風切る心地良さ。

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日付をこんな風に、陽射しと月あかりが更新する。このままでいいのかなぁ、と、不安に駆られる。和太鼓とバイクの凄まじい爆音がそんな不安を一蹴してくれればいいのに。

 

 

安逸を安逸として嫌う勿れ

続く仕事の狭間で、僕は書く。

気怠い、尾崎豊の『I LOVE YOU』が流れているのを、どこかしら怪訝に感じ、秘かに僕は疎んじている。或る種の怠惰、勤勉への反抗、学校への冒瀆、そうやって自己肯定感を維持するいじらしさの矮小を、いったいどこの誰が《小っぽけな蛙たち》と嗤うことができただろう。どこかのファシストの馬鹿どもが今夜も囁く、「生一本で生きていってごらん!」。まるで『或る阿呆の一生』のように。退屈凌ぎにうたた寝しながらペンを疾駆させることの神への冒瀆を、不幸せな僕は知悉している。文法の崩壊を僕は歓迎したい。

 

フランスのサントロペから出発し、ロンドンに辿り着くまでのあいだ、ドーバー海峡は荒れに荒れて、《魚と化した犬ども》は危うく溺れそうになる。旅とはそういうものだろう。崩落した新婚旅行でもないんだから。唯一のほんとうの旅、それが荒れ狂ったドーバー海峡さ。

 

こっそり読むのはロートレアモンの『マルドロールの歌』で、したたかなことにミシュレの『魔女』を栞とする。このゾッとする孤独、孤独という名の暴君、彼は新たな神になりたい欲求に駆られはしないだろうか。既成の信仰とやらを見事に薙ぎ倒し、いやいや、彼はおそらくQUEENとして化粧をしないもうひとつの化粧の方法を見出すのだろう。天地開闢のいにしえから、王族と呼ばれる人たちは申し合わせたかのように皆そうだった。

 

ペテン師を遣り過ごし、前進する僕たちは、《動く書物としての孤児》のように未来だけを信じている。ママンは僕たちを知らないし、僕たちもママンを知らない。古風な《家》を一蹴する努力がマルグリット・デュラスには足りなかった。

 

モーツァルトが、従姉に恋をして嗤った。『狭き門』は、出版当時としてはさほどモダンではなかったどころか、苔が生えそうなくらいに古めかしかった。禿親爺アンドレ・ジッドが生きた狂気には軽蔑のファクターが少なすぎる。

 

凡庸な僕たちの運命を坊主どもがカードで占う。ジョーカーの欠けたそのカードで…

 

想像力のない男の子なんて、嫌いよ! そう叫ぶ少女に残された道はなく、ぼんやりした豊かな瞳は凍てついた海の最果てを…f:id:atorie-hama3o2o3s1965447:20170820033832j:image

 

 

 

 

 

 

 

 

強くもちたい自己肯定感

自虐的になるのは悪い仕種ではないと思う。

恥を引き受けることと同じくらい、むしろ大切なことなんだと思う。

終戦記念日。72回目の終戦記念日

正確には敗戦記念日なのかなぁ。

ともあれ、平和が尊重される歳月が定着した。

 

僕の伯父は、戦死している。二人の伯父が戦死した。

特攻隊員だったという。ルソン島で死んだ、祖父は靖国神社で僕にそう語りかけた。

祖父も実父ももういない。

 

とっくの昔に、死んで、もういない。

 

僕は病気になり、入院した。

 

特攻隊員というのは、僕にとってあまり好ましいものではない。

 

どうか命を大切にしてほしい。屈折せずに自己肯定感をしっかりともってほしい。

 

いつか。いやいや、平和はまだまだ遠い。

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ぶっ通しで仕事、真夏を駆け抜けよう❣️

今日から来週の金曜日まで、ギッチリ仕事のスケジュールが組まれている。土曜、日曜、そんな重宝なものはあったものではない。言い方が「紳士的ではない」かもしれないが、土日も糞もあったものではない。体調を崩すとかなんとか、ささやかなそんなこともあったものではない。僕たちのまわりでは「完璧であって当たり前」とされるが、この完全主義は病的な気がする。仕方ないか。

 

恋の破綻で哀しむ暇もないくらい、忙しい。「病気だから」云々といった調子の「因果関係探し」の怠惰など軽やかに一蹴し、「愛でも食らえ」とばかりに仕事する。デートする暇も勿論ない。尤もデートが退屈ならこちらからお払い下げだから、苦にならない。

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ちょいとeau de Cologneをつけて、仕事、仕事。「隣りの女によく見せるために」とはアンドレ・ブルトン達も巧いことを言う。さりとて「人民のために」では陳腐な「虚栄心」に堕落してしまう。自分のためにつけるのが本来のeau de Cologne。

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仕事から帰れば、勉強にまた勉強。おかげで目が痛い。

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気でも狂ったのか、僕はどうかしている。今夜も眠れない。

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新聞を読む時間を削減することにしている。紙の新聞よ、さようなら。

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時間を圧縮すれば、1日あたり25時間の成果が得られる。陰鬱な東京のこれが暮らし。牧歌的なものは一つだにない。

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東京スカイツリーの野暮は季節を知らない点に起因する。勝鬨橋は勝鬨をあげない。僕たちのこんな暮らしは、何なんだろう?

秋の風〜亡くなった伯母

仕事から帰ると、伯母が亡くなったとの報せを受けた。

伯母は年老いていた。僕がまだ小さかった頃、いつも可愛がってくれた。東北訛りがなくならない、苦労に苦労を重ねた心優しい人だった。僕にとっての伯母のイメージは、上野駅で、沢庵と柔らかいうどんが今にもでてきそうな、もてなしの裏表がない人柄だ。沢庵を供することに抵抗のない人は少なくなるばかりで、戦前に生まれた人でないとその感覚は俄かにはわからないのかもしれない。僕などにわかる筈もないのだが、当時はまだ貧しかった東北で、行きたい学校にも行けず、弟妹の世話をしながら青空学校で字の綴りを覚える環境では、かりそめに都会へ出ても、暮らし振りはそんなに楽ではないと認識している。

 

都会は二度目の東京五輪でわいている。遅れ馳せながら都知事も初の女性となった。都知事は「男性優位主義と闘う」とのメッセージを鮮明に打ち出した。フェミニズムのその到来が遅すぎた点は否めない。酒乱の夫から苛められることが稀ではなかった伯母は、どんなに待ち侘びていたことか、想像するに難しくはない。新幹線も特急電車もまだなかった昔の東北で、金の卵と呼ばれる以前の若かった伯母の少女時代を思うと、遣り切れない重苦しさが込み上げてくる。夜汽車の汽笛が聞こえそうな、あの物悲しさ。

 

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夢見て都会に出てきた割には夢が虚しくしおれることをも理解して、思い出を汽笛に託しふるさとにさようならを告げたのかもしれない。流行歌は「花の東京」を謳うものの、絶望が一抹の不安が打って変わる。人形のように扱われ、人間の人間足る所以がわからなくなる。今更どこに逃げようというのだろう。弟妹への想いが一俵の米より重い。

 

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ポジティブになんか生きられる筈もなく、キチンと生きられる筈もなく、ただ逃げ惑う魂を、動かぬ身体に仕舞い込んで、背負う子らを少しでも健やかに育てようと一生懸命だった伯母。あの消えなかった東北訛りがもう聞こえない。秋の虫が鳴いている。

 

 

或る美しさ、『やまない雨はない』

異論の噴出しそうな美を巡る学術的な話題を敢えて避け、川端康成ふうの「或る美しさ」と据え置くしかなかった。他に幾つかの題が思い浮かんだが、品詞から成り立つそのどれもが中途半端だったり、美とは何かについての主観的な説明だったりして、意味のないものになっているような気がした。

 

『やまない雨はない』、NHKのお天気キャスターの書いた美しい回想録。季節の移ろいと人の暮らしの歳月の移ろいとをうまく重ねて書いている。丹念な筆致で、却ってそれが悲しい。子のいない、夫婦の晩秋の話となっている。幾つもの驚き、度重なる不幸せ、妻の死、書き手の精神病院への入院、そして恢復。通底するのは或る美しさを醸し出す夫婦愛。

 

誠実さや、謙虚さが、流れていく。

 

人間、いつ死ぬのかわからないけれど、やがて必ず死ぬことだけは、わかっている。

 

だが、温かみのある暮らし、その営みの困難は、人は必ず死ぬとまるっきりわかっていないことに起因する。

 

人と人はついつい争うのが屢々で、多くはコミュニケーションの過程でそうなるが、自分を律することさえできずに相手を罵倒し甚だ傷つける場合がある。条件なしの醜さで、社会への適応能力を疑うも、怒っている御仁はいかにも馬耳東風といったふうでもある。怒っている本人は間違いなくこう言うだろう、「黙って!」。

 

指導的な立場にある人でも、やっぱり同様で、国を代表して他国を著しく威嚇する例は後を絶たない。まるで茶飯事のようにニュースはそんなことを報道する。そこにはアンガーマネジメントもアサーションの技術もあったものではない。

 

戦争は、終わらなかった。

 

文学は役に立たない、そう言われ続けた。

 

そんな世相をよそに、ヘビー級のボクサーが、一篇の詩の一句を読んで、まことしやかに泣いている。あの、空だ。 

 

 

 

 

 

💝癒やしから始まった筈なのに💝

迷いに迷って中二病

恋煩いを秘めて咲く錯乱の華。

僕たちが「ぼく」だった正にその頃、

恋に足許をすくわれて、

転んだ。

健やかさの証しだった涙、

遠く、遠く、太宰治から遠く離れ、

一気にソシュールに追いつき、ラカンに追いつき、

現実ではない言語に戸惑い、

ぽっかり『寒山拾得』に惑った。

 

ハザードを点けたジャガーにポルシェが追随し、

フェラーリがウインカーをあげ、

黄昏の街にネオン瞬き、

自惚れの強いランボルギーニに衝突した僕たちの自尊心。

 

フッサール現象学を讃え、

ナボコフ自伝に首を引っ込めた。

雨月物語を紐解いて、やっと気づく日本人だと。

 

カネだ、カネだ、カネだ、連呼しながら続く仕事を余念なくこなし、

東洋に浮かぶ大きな島が、今宵もまた点燈し、

夜は夜を失って、大鴉をポーの詩集に放つ。

最後の紳士がクレリックシャツの襟ボタンを外し、

始まった夜、

応援することこそ生き甲斐。

 

成功から垣間見られる虚栄心の、

ファシズムの思考が顕在化する地球。

 

僕は怯えながら、川の畔を黄昏る。

TOKYOには不在しか存在しなかった。

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血の涙、不思議な危うさ

夜空の帳をあけて満月がぼんやり浮かび上がるとき、ウサギは何を想うだろう。

ウサギは、ジョン・アップダイクの『走れウサギ』のこともあれば、アマミノクロウサギのこともある。

双方、あまり仲が良いとは必ずしも言えず、その間をハブが苦しそうにのたうち歩いている。

慧眼な人ならもうわかるのかもしれない。

アメリカナイズされた暮らしの中で、僕たちの選択肢は狭くなっている。

TOKYOにはなにもない。

世界最大と称される本屋街、神保町、ここはTOKYOの不在の中心となる。

神保町を、モンマルトルの丘が追い越すだろう。

 

冴えないゴシップが隅田川を流れる

うたかたの夢が風に乗りはするものの、遂に片づけられる。

小室哲哉の音楽が舞踏芸術から遠去かり、

裁判官が小首を傾げながら音符を細い指でなぞるのは、

モーツァルトの無邪気さのおかげだった。

 

真夏の夜の夢が雷雨に閉ざされ、

僕たちはもう黒い額縁に顔写真を収めた。

 

写真家ナダールの撮ったパリの肖像が、時代の違いを蹴散らす。

粉々になった「瞬間」を器用にボンドで繋ぎ合わせる職人の、

名声はない。

 

絶滅危惧種のウサギは、

パンで満タンになった僕たちの口に、

口づけることもない。

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